病院・診療所・歯科医院・勤務医の税金

勤務医の税金

ドクター

勤務医が病院から受ける給与に対しては、所得税と住民税が課されます。

勤務医の場合通常、給与の支払者である病院側で毎月の給与から所得税が源泉徴収され、12月までの一年間の給与が確定した時点で年末調整が行なわれ、確定年税額が計算されます。
また、病院側で作成された源泉徴収票は各市区町村へ送付され、住民税が計算されます。

ただし、次のような場合は、本人が確定申告をしなければなりません。

  • 年収額が2,000万円を超える、または年の中途で退職したなどの理由で、年末調整が行なわれなかった場合
  • 給与および退職金以外の収入(講演や原稿の執筆など)があり、その所得金額の合計が20万円を超える場合
  • 主な給与の支払者以外から、非常勤の診療や当直に対する日当などの給与の支給を受け、その収入金額の合計が年間20万円を超える場合
  • 住宅取得等特別控除(住宅ローン控除)など、確定申告書の提出が要件となっている制度の適用を受けようとする場合

開業した年の税金

病院経営

ひとたび個人立の開業医として独立すれば、税務関係の諸手続きや申告・納付はすべて自身で行なわなければなりません。特に開業年においては、開業に伴う各種届け出や申請手続きに加え、医業所得の決算や確定申告も必要になります。

開業年の手続き

事業を開始した年においては、診療に関する都道府県や保健所への手続きに加え、税務や労務関係の手続きを、それぞれ定められた期間内にしなければなりません。このうち税務に関しては、手続きの有無が税額に直結するので注意が必要です。
特に青色申告者については税務上のメリットが多いので、必ず提出するようにしましょう。「青色申告承認申請書」の提出期限は、原則として開業後2ヵ月以内です。

開業した年の確定申告

開業した年の所得は、勤務時代の所得と独立後の院長としての所得が混在することになります。
具体的には、退職時までに勤務先の病院から支払いを受けた給与および退職金にかかわる所得と、開業後の医業から生じた事業所得を合わせ、翌年の3月15日までに確定申告書を税務署へ提出しなければなりません。
開業初年度の事業所得は、臨時の経費も多く、年の途中で開業すれば診療期間も1年に満たないことから、赤字になるケースも多くあります。
こうした場合、青色申告であれば、初年度の赤字を翌年以後3年の所得と相殺することができるので、節税メリットは大きくなります。

個人開業医の税金

独立

個人立の開業医は、医業から生じた所得に対し、所得税および住民税、さらに個人事業税が課税されます。また、前々年の消費税の課税対象となる売上高が1,000万円を超えるなど一定の要件に該当した場合は、消費税の課税事業者にもなり、消費税の納税が必要となる場合もあります。

所得税

所得税の計算の基礎となる事業所得は、医業経営から生じた総収入金額から必要経費を控除して計算します。この計算にあたり、社会保険診療収入の年間合計額が5,000万円以下である場合には、社会保険診療収入に関する必要経費については、通常の実額による方法のほか、4段階の概算経費率により計算することも選択により認められています。

所得税の税率は、超過累進税率であるため、開業後一定期間を経過して所得が増えてくると、これに応じて税率も上昇し、税負担は非常に重いものとなります。このため、所得の分散の検討が必要となります。

具体的には、法人化する方法や、家族従業員に給与を支払う方法などがあります。ただし、家族従業員への給与の支払いは、勤務実態や専従の要件を厳しく問われるので、十分な注意が必要です。

住民税

医業にかかわる事業所得に対し、住民税が課税されます。なお、所得税の確定申告書を提出していれば、改めて住民税の確定申告書を提出する必要はありません。

事業税

事業税は医業にかかわる所得のうち、社会保険診療分を除いた金額に対し、5%の税率で課税されます。なお、社会保険診療分を除いた金額が290万円以下の場合は事業主控除が認められ、課税されないことになります。

消費税

個人事業者は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合に、消費税の納税義務者となります。
しかし、医療機関においては、社会保険診療をはじめ、多くの医療が政策的な配慮から非課税とされています。このため、個人立の医療機関などで消費税の納税義務が生じるのは、主として消費税の対象である自由診療の売上高が、1,000万円を超えた年の翌々年からということになります。

医療法人の税金

医業

医療法人の所得に対しては、法人税および法人住民税、法人事業税が課税されることになります。
また、院長は理事長として法人から役員報酬を受けることになるのに伴い、個人事業者ではなく給与所得者となり、役員報酬に対し所得税と住民税が課税されることになります。

【医療法人に課される税金】

法人税
法人化により設立された医療法人は、院長とは別人格となり、法人税法に基づき計算された法人所得に対し、税率を適用して法人税が課税されます。
医療法人は税法上、一般の医療法人と特定医療法人に区分され、それぞれに適用される税率が異なります。
医療法人は、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、法人税の確定申告書を税務署へ提出しなければなりません。
法人住民税
法人住民税には、都道府県民税と市町村民税があり、それぞれに法人税割額と均等割額があります。税率は法人所得の額、従業員数、出資金の額などにより自治体ごとに定められており、小規模な法人ほど低くなっています。
医療法人は、法人税の申告と同様、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、確定申告書を県税事務所および市役所へ提出しなければなりません。
法人事業税
法人所得をベースに、自治体ごとに定められた税率に基づき課税されます。なお、個人の場合と同様、社会保険診療にかかわる所得には課税されません。
法人事業税の確定申告書は法人都道府県民税の申告書と一体となっており、提出期限は法人税および法人住民税と同様に、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内となります。

【理事長に課される税金】

役員報酬
医療法人の理事長が受け取る役員報酬は、所得税法上の給与所得に該当し、勤務医に対する給与と同様の方法で、所得税及び住民税が課税されます。
医療法人への土地・建物の貸し付け
理事長個人が所有する土地・建物を医療法人に貸し付けている場合は、その賃貸収入は不動産所得に該当し、収入金額から必要経費を控除した金額に対し、所得税が課税されます。
医療法人への現物出資
医療法人設立時において、土地・建物を現物出資した場合は、個人から法人へ資産の譲渡があったものとして、出資時の時価をベースとして譲渡所得税が課税されます。